宮下奈都氏 「羊と鋼の森」
タイトルの「羊」はピアノの中のフエルト、「鋼」はピアノの弦を表しています
一口で内容を言ってしまうと、新米調律師の成長物語
先日、王様のブランチで取り上げられた本です
最初は「調律師のお話か~」と話半分で聞き始めたものの
レギュラー陣が口々に「一気に良さを取り込みたくて初めて写メを撮った」「譜面立てに置いておきたい本」「小川洋子氏と村上春樹氏を足して2で割ったような作品」などというコメントが続々飛び出し…
特に…村上春樹氏の作品が大好きなAKI
彼の描く文章からは匂いや風、光などを感じる
いろんな人の小説を読むように心がけているけど、彼に近い作品は未だ見つけられず、早速買ってしまった一冊です
高校のない山の中で育った主人公(男性)
十七歳のある日、学校を訪問したある調律師に出会う
初めて見る調律師(のちに先輩に)
彼の仕事に魅了された主人公は、迷うことなく調律師を目指す
高校を卒業後、調律師を育成する専門学校へ入学
その後、魅了された調律師のいる会社に入社
たぶんここまでなら叶えられそう…
この本を読んで知ったのは、調律師のお仕事って狂った音階を整えるだけじゃダメだってこと
弾く環境や弾く人の好みに合わせることが大事
でもそれってどうすることが正解なのか、最高の出来なのか…
主人公の新米調律師はピアノを習ったこともなく、人より耳がいいわけでも、器用なわけでもなく…
一流のピアニストから名指ししてもらえたり、耳がすばらしく良かったり、バンドをやってたりする職場の先輩たちの中にいると余計に焦り、落ち込む
何をどうしたらいいのかわからない…
先が見えない…
自分はダメなんじゃないか…
そんな風に思ってしまう
まるで生まれ育った故郷の深い森を歩いているような…
それでも今できることをひとつひとつこなしていくことを辞めなかった彼が、2年の歳月の末に見つけたものは…
後半、AKIは温かい涙を何度も流しました
誰かが言っていた通り、この小説にはありました
山を駆ける風
風で揺れる枝や葉っぱの音
山の匂い
それからシーンごとに変わるピアノの音色が…
「読んで良かった…」と思えた一冊です
良かったら是非!
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前の記事にすみません
「羊と鋼の森」今日、読了しました
読む前は「羊と鋼の森」??とタイトルに?マークが付いていましたが
読み終えた時このタイトルが「ストン」と入って来ました
音を文章で表すこと、それも音程を文字で表すって
お京にとって「ラ」は「ラ」だし(笑)
調律師という仕事、あまり接することがありませんし
子供のころ家に来ていた人や、職場に来る調律師さんには「おまかせ」で
調律後に「もっと明るい音で」とか注文することにびっくりしました
奥が深いとか言うだけでなく、もうその人それぞれの感覚ですよね
こんな中でもがく外村、それを取り巻く先輩方
お話としても面白かったですし
「音」に対して諦めない、妥協しない姿がすてきです
AKIさんが書いているように
作者の表現が美しい森へ誘ってくれます
素敵な本を紹介してくださって、ありがとうございました
本屋大賞ノミネートにも直木賞候補にも入っていましたね
投稿: お京 | 2016年3月 6日 (日) 12時11分
>お京さんへ
「羊と鋼の森」読んでくださったんですね
コメントまで書いていただいて、感激です
昨年読んだ本の中でも、読み終えた時の感情が特別だったので記事にしたんですが、
本屋大賞ノミネートにも直木賞候補にも入っていたので、AKIの目に狂いはなかったと思いました
お京さんは過去に調律師さんとの接点はあったんですね
AKIは、もちろん職業としては知っていたんですが全く見たこともなくて…
ピアノの乱れたi音階を直すお仕事だと認識していました
でもこの本を読んでそれは最低限
もっと奥の深いところを求められているんですね
その奥の深いところが形としてないし、人によって違うし、正解がない
雲を掴むようなものに挑む新前調律師の外村に時に応援し、時に一緒に苦しみ、時に成長に喜び…たくさん泣かされました(ρ_;)
素敵な本に出会うと、また新たな素敵な本に出会いたくて興味をもった本を次から次へと手に取ってしまいます(^-^;
投稿: AKI | 2016年3月 6日 (日) 16時45分